ラブスペル
「……何やってんの」

『美知佳さんと同じ、お疲れ様会』

佐竹氏はナイナイと言わんばかりに、陽希の隣りで手を横にパタパタ振っている。

『って言うか、それは俺のセリフでしょ。いつまで手握り合ってるつもりだった訳?』

陽希はスマホを耳にあてたまま、寄りかかるように座っていたスツールから体を離し、大股で歩き出した。

『美知佳さんも仕事の付き合いがあるだろうし、お開きになるまで待ってようと思ってんだけどね』

視界に映る陽希が、どんどん大きくなる。


取り立てて隠していたつもりも無い。

私に誰かいること位、職場の人達も分っていると思う。

――ただ、それが藤城陽希と知らないだけで。


『迎えに来ちゃった』

私のスマホから聞こえる声と生の声がリンクした途端、雪ちゃんと花梨ちゃんの
甲高い声が響いた。

「え~っ?!」

「わあぁぁぁ!!」

2人が口々に発する音を聞いて、陽希は軽く微笑んだ。

私は柄にもなく焦ってしまう。

「えっと……ハルです」

「そんなの今更でしょ。美知佳さん」

私が照れまくっているその隙に、ハルは私の握っていたスマホをまるで自分のモノのように、迷彩柄のポケットへ滑り込ませる。

そして胡散臭い位に完璧な笑顔で、空いた私の手をギュッと握った。


「それって、並木さんの彼氏ってことですか?」

酔っぱらい緒方が突然、陽希に繋がれた私の手を指で差し、言葉を続ける。

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