ラブスペル
「でも藤城さんて、色々な女と噂ありますよね」

彼は突っかかるような視線で、陽希を見上げた。

「そんなプライベートなことやめなよ。緒方君、突っかかり過ぎ」

雪ちゃんは私を気遣うように見上げると、指差しする緒方の腕をグイッと引っ張った。

「聞いてるだけなんだからいいだろ。どうなんです?藤城さん」

「決まってるじゃない。俺は好きな女としか手は繋がない主義」

陽希は緒方を挑発するように、繋いだ手を掲げた後に軽く口付けを落とした。

「えっ、ちょっとっ!ハル」

緒方はつまらなそうに目を伏せると「ふ~ん、リークしちゃおうかな」なんて、意地の悪いことを呟いた。

その黒い発言を聞いて、またもや呆気にとられる。

……酔っ払い緒方、怖っ。

「俺は構わないよ、大事なのは美知佳さんだけだし。あ、でも、君の編集部は大変なことになるかもね」

陽希はあっさり言い放つと、余裕の笑みを浮かべた。

「で、美知佳さん」

「えっ」

「終われるよね」

その一言は強力だった。

女の子2人はニヤニヤしながら、お疲れさまで~す、と声を合わせてくれた。

「御会計はしておくから……ごめんね」

私がそっぽを向いて飲み始めた酔っぱらいを親指で指差すと、雪ちゃんは笑った。

「大丈夫ですよー。大好きな上司の彼がハルキさんだったんで、ショック受けてるだけですからー」





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