恋人遊戯
悲しい現実…

その1




「あの男は、誰だ?」


「先輩です。少し、前に助けてもらって…」

「何を、助けてもらったんだ? その礼がキスなのか?」


落ち着いて喋っていたのが、仇になってしまった…。


キスした所を見られてしまった事が、恥ずかしくて顔が熱い。



「その…、交際を一度申し込まれまして…」

「………交際? お前がか?」


相当驚いたのか、兄さんは私の方を見て、マジマジとこちらを品定めをする。


「…ハッ…。お前が、交際を…申し込まれたのか?」

鼻で笑われてしまった…。


……確かにそう、思われても仕方ないよね。


私は、こんなにもツマらない人間。



褒められるような事なんて、ないに等しかったもの。


付き合って欲しいなんてのも言われた事なかった。


「同情でもしてキスをしたのか? それとも、本気なのか?」

「…ッ本気って……!」



車内で大きな声を荒らげてしまい、私はシマッタと思った時にはすでに遅かった。



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