恋人遊戯
「うっさい!!」
そう怒鳴られた瞬間、頬に火を押さえつけられたように熱くなった。
カッターだった…。カッターの刃が私の頬を掠めた。
鋭利な刃ではないから、血があまり出ないけど痛みは酷い…。
「これ以上、礼司に近付いたら容赦しないわよッ!!」
そう言って上級生たちが立ち去ろうとした…らしいが。
「……礼司…」
「随分楽しそうな事してたんだね~」
眼鏡を壊されたせいで、目の前で何がどう起こっているかが良く分からない。
先輩がどんな表情かも…。
「だっ、だって礼司…何でこんな子に構うのよ! こんなダサくて、可愛げもない子のどこがいいのよ。私の方が…」
戸惑いながらも、自分たちのやった事を正当化していく。
「…ウッセ。っつーか、2、3回寝ただけで俺の彼女面するって…どう言う思考回路してんだよ」
溜め息混じりに聞こえる先輩の声に、私はただただ顔が赤くなるだけ…。