風花


そこにいたのは確かに舞歌ではあったのだけれど、舞歌ではなかった。


黒、白、灰の小さいドットで彩られた、太腿の半ばくらいまでしかないショートパンツを履き、膝下までのロングソックスに、それよりもやや背の低いロングブーツを着用。
フリルの付いたブラウスの上からワンボタンの黒いジャケットを羽織り、いつもはポニーテールしている髪の毛を下ろし、雰囲気ががらっと変わっている。

いつもの、地味な紺のセーラー服を着ているイメージしかなかった為、舞歌の私服姿に、悔しいことに見とれてしまっていたんだ。


「ん?紡君どうしたの?」
「あ…いや…」


見とれて固まっている俺に舞歌は首を傾げ不思議そうな顔。
我に返り、急いで言い訳の言葉を探すけど、感の良い彼女に隠し事なんか出来る訳がなかった。
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