涙で育った赤い花
「おい、お前ら波琉ちゃんに手ぇ出すんじゃねぇぞ。」


拓人くんが私の後ろに立って言った。


――バシッ!


「イテェ!何すんだよ雄一!」


「アホか!お前が一番心配なんだよ!」


「へへっ」


「へへじゃねぇっつうの!」


――チーン


「あっ、波琉ちゃん、着いたよ。女子の階。」


「うん!ありがと。」


「俺も降りるぅ!俺の部屋もここの階だー!」            とわめく拓人くんを抑えて、                    『バイバーイ!』


男子達がエレベーターの中で手を振る。

なんか変な光景。


「バイバイ!」

私も手を振り返す。
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