涙で育った赤い花
新幹線の窓から、遠ざかっていく京都の街並みをずっと見ていた。


――夕日…きれいだな…

いつもより、ちょっとだけ大きく見える夕日に見とれてふと思う。


「はいっ!あげる!」


目の前に突然チョコレートが現れた。


チョコレートを握った手の主は……由嬉だ。


「ありがと!」


「…でも溶けちゃったんだ……。」


「ギャッ!本当だ…」


小さな袋の中には、溶けかけたチョコレート。


「ごめんね?」


「いいよ!チョコはチョコだし!」
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