涙で育った赤い花
溶けかけたチョコレートを口に運ぶ。


――甘い。
当然だけど…甘い。


その甘さが、ちょうど今の私の恋みたいな甘さだった。


溶けかけた、生温かいチョコレート。


それはそれで、今の私にはちょっとおいしく感じた。


「はぁ……。」


ため息が出てしまう。


……今日中には言えない気がする。


意気地なし――

自分でもそう思う。
< 60 / 127 >

この作品をシェア

pagetop