個人的事情につき“50センチ以内”禁止
俺限定

「藍川、ここ計算ミス。やり直し」

「はい、すみません」





彼女から出された書類のチェック中にミスを見つけた。

少し離れたデスクにいる彼女を呼び、書類を返却する。





「すぐ直せるか?」

「…直します。すみませんでした」





彼女は差し出された書類を受けとると。

軽く頭を下げ、自分のデスクに戻っていった。

…俺とは一度も目を合わさずに。





…おかしい。

彼女がおかしい。

ただの上司とただの部下である彼女との会話にしたらなんらおかしなところはない。

が、しかし。

俺と彼女は“ただの”上司と部下とは違う。

彼女は俺の…だ。

正確にはまだ全てが俺の、ではないが。

近々そうなる予定だ。




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