Sweet*Princess



「史斗さん!」


私が呼ぶと、史斗さんは立ち止まった。




「………ッ!!」



背筋が凍ったって、きっとこういう時のことを言うんだ。



だって、史斗さんはすごく



冷たい瞳で………




「なんで連れてきた」


低い声


本当に怒ってるんだ……




でも、負けちゃいけない。


亡くなった美沙さんのためにも。



「話、聞いてください。秋山さんの話を」


「なんで?」


「…救われるから。史斗さんも秋山さんも、美沙さんも……!」



私がそう言った時


ほんの一瞬だけ史斗さんの表情が変わった気がした。




「もう誰も憎まなくてよくなるかもしれないから…!」


「ほっとけ。お前には関係ない」


「確かにそうですけど!でも、好きだった人を憎むなんて……悲しすぎます」


「…………」




私は、何があっても壱斗を憎むことなんてできない。


壱斗を憎むくらいなら、自分を憎むよ………



「…あ……」


その時、思ったんだ。


史斗さんは、美沙さんを愛してた。


もし、私と同じなら……?




「まさか、史斗さん……!!」



*
< 170 / 231 >

この作品をシェア

pagetop