Sweet*Princess
放課後
「姫乃ー、もう帰るの?」
「うん、美帆は?」
「私委員会あるんだ」
「そっか。じゃぁ、また明日ね?」
「はーい」
ちゃんと雅斗さんに言うんだ
私はやっぱり壱斗が好きだから
雅斗さんの気持ちには応えられないよ。
玄関を出た時
校門のところに壱斗がいるのが見えた。
壱斗、部活じゃないのかな……?
でも、会えたから嬉しいな
そう思って、壱斗の元へ走り出そうとした時
「………っ、なんで…」
壱斗の頬に添えられる綺麗な手
その手に応えるように、目を瞑る壱斗
あぁ、これが
愛し合う二人の姿なの……?
気付けば私は走り出していた。
たとえ二人が愛し合っていたとしても
壱斗の婚約者は私なの!
壱斗の制服の裾を掴む。
壱斗はこっちを見て一瞬驚いた顔をすると
もう一度綺麗な女性に目を向けた。
「ごめん、咲華さん。少し話してくる」
ねぇ、壱斗
それは
私との話が終われば咲華さんのところに戻るという意味?
「行こうか、姫乃」
壱斗は私の腕を引いて歩きだした。
もう、手も握ってくれないんだね……
*