Sweet*Princess


廊下の一番突き当たり。


そこで止まった雅斗様がリビングだよって教えてくれた。



そして斎藤さんが扉を開ける。



「へぇ、ここがリビングかぁ!って、こんなのリビングって言えねぇよ!!」


「プハハ♪姫ちゃんおもしろいねぇ!」



だってね?だってね?


よくドラマとかで出てくるじゃん?

長細い机の端と端に座ってご飯食べるシーン。


まさにそれ!



どんだけお金持ちなんだ、この家は……



「お♪史斗に明斗じゃん」


さっき会った人達もこの部屋に入って来て、壱斗様を除いた兄弟が勢揃い。


それにしても綺麗な人達だなぁ…


壱斗様もすごくカッコいいんだろう。




雅斗様と明斗様は、何か口喧嘩している様子。


ほんと、どっちが子どもかわかんないなぁ…


史斗様は読書。


なんかほんと頭いいのが伝わってくる…



その時、リビングのドアがばっと開いた。


もしかして、壱斗様かな…?



そう期待して振り向く。



「姫乃ちゃん!」って声と同時に、苦しいくらいに抱き締められていた。



え?誰?てか、息できな…!



「おいおふくろ。息できてねーだろ」


また違う声が聞こえたかと思うと、私はきつい腕から解放された。



「ごめんね?ごめんね、姫ちゃん〜!」


綺麗な人!もしかして、この人…


「おい、おふくろ。親父は?」


雅斗様の言葉に、確信する。



「お母…様…?」


綺麗な女の人は、瞳を潤ませて私を見る。



「そんな風に、呼んでくれるの…?姫ちゃん!!」


「うッ…げほ」



またきつく抱き締められて、息ができなくなる。


あぁ、でもなんでだろ…すごく安心するなぁこの腕の中。


どこかで、感じたことがある気がする。



「だからおふくろ。息できてねーって…」




*
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