この力があるかぎり



「こっちからいかせてもらうぞ。」


そう言うや否や、ヒヨリさんは自分の手を体の前に出し、手のひらを上に向けた。


「WC(ウィンドチェイン)」


今の一言で、ヒヨリさんの手に長さ50㎝ぐらいの、風でできた細長い鎖のようなものが出てきた。


細いながらも風の圧力などはかなりのものだろう。


そして、それを私の足に向けて放った。


なるほど…風の鎖を作って私の足を使わせなくして、身動きがとれないようにするためか…それなら…


「HS(ハードソイル)」


私は、自分の身長ぐらいある、固い土でできた盾を出した。


向こうが風の能力なら普通は土は弱い。


けれど、固い土を形成すれば立派な盾になる。


風の鎖がこちらに向かってきたとたん…


シュン―――


小さな音を立て、風の鎖は形を維持できなくなり静かに消えた。


< 145 / 220 >

この作品をシェア

pagetop