私は男を見る目がないらしい。
 



「何なの。最悪ね、その男」

「っ!」

「展開が早すぎて、笑えるから。あたしが話を聞いたその日に男が姿を消すなんて」

「……」

「そんな馬鹿な男に捕まるなんて、美桜は本当に馬鹿ね。すぐに人を信じるところ、直した方がいいわ」

「……」


理子さんにあの後のことをポツリポツリと出てくるままに話した。

話し終わった後の反応は予想通りというか、なんというか。

バサバサと斬っていく反応が、今の私にとっては清々しくて逆に気持ちがいいくらいだった。


「美桜」

「はい……?」

「でも、良かったじゃない」

「え?」

「たった3万で勉強できたんだから。安いものよ。中には100万も200万も授業料取られる人間だっているんだから」

「……授業料って」

「そうでしょう?これでもう、今後同じような目に合いそうになっても冷静に考えられるはずよ。まぁでも、たったの3万ぽっち奪って去った男が何をしたかったのか、あたしには全く理解不能だけどね。普通もっと奪っていなくなるものでしょ」

「……」


……それは私も少し思った。

理子さんに言われた「お金搾り取られて、逃げられないことを祈る」って言葉が浮かんだから。

朔太郎は“たったの3万”のために私と3ヶ月も一緒にいたの?

 
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