私は男を見る目がないらしい。
5.心の中を見せない男

*終わった恋と新しい恋 「可愛い方だなと思って」

 

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年が明けた。

年末年始の長い休みももう終わりだ。

明後日からはまた日常に戻る。


今回の年末年始はお盆ぶりに実家に帰り、特に何をするでもなく、ほとんどの時間を自由気ままにまったりと過ごした。

今生活しているマンションに戻ってきたのは昨日の夜だ。

私の実家は今住んでいる場所と同じ県内にあるけど、会社に通うには遠いという理由で、私は働き始めてから一人暮らしをし始めた。

たまに実家に帰ると楽だなと思うこともあるけど、今はもう、この場所が私の居場所なんだなと思うようになっている。


お正月早々、初詣にも行かずに実家でうだうだと過ごしていた私は、不意打ちで現れた親戚の叔母さんにタイミング悪く遭遇してしまった。

叔母さんは親戚の中でも世話好きとして有名で、そんな叔母さんにとって結婚適齢期の私は、うってつけの標的だった。

予想通り、叔母さんは楽しそうに私に向かって、結婚談義をあれやこれやしていく。

心配してくれてるからこその話だとわかっているけど、話が長くて長くて、どうしても自分には関係ないことだと思えてしまって、私は必死にあくびをしないように耐えていた。

そして散々談義した後、締めくくりの言葉が「相手がいないなら、紹介してあげるから!」だった。

……もちろん、丁重にお断りしておいた。

相手がいないのは確かにその通りなんだけど、やっぱり結婚するなら好きな人とがいい。

そこだけは普段は女子力のない私だって、普通の女だから人並みに思うことで。

でも、好きな人……今の私には縁遠い話かなって思うんだ……。

 
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