私は男を見る目がないらしい。
 

「……あぁっ!」

「えっ?相原さん?」

「万年筆……思い出しました!じゃあ、あの時の人って長谷部さんだったんだ!」

「え?」


振り返ったのはメガネを掛けたイケメン。

サンバ隊に揉みくちゃにされたのか、そのイケメンに似合わないようなよれたネクタイと腕まくりをしたカッターシャツが印象的だった。

その顔を思い出すと……今目の前にいる人にすごく似ている。


「長谷部さん、その時、メガネかけてませんでした?探していたのは……そう、深緑の万年筆!見つかった場所は結局、本部の忘れ物届けのところでしょ!?」

「え、そうですけど……って、え!?もしかして、あの時手伝ってくれたのって」

「たぶん、私ですっ!うわぁすごいっ!まさかこんなところでまた会うなんて!」

「本当に……!髪の毛短い方だったなという印象が残っていたので、全く気付きませんでした!世間、狭すぎますね~!いやぁ、あの時は本当にありがとうございました!すごく助かりました!」

「いえいえ、見つかって本当に良かったですよー!」


ぺこぺこと頭を下げる長谷部さんに対して、私は手を上下させながらけらけらと笑う。

本当に世間って狭すぎる。

あんなたくさん人がいたのに、まさかこんなところで再会するなんて。

 
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