私は男を見る目がないらしい。
 

……嘘でしょう?

認めたってことは冗談じゃないの?

でも、これが、あの朔太郎……?

あのぽっちゃりハムスターの、ハム太……いや違う、朔太郎……?

……いや、ないない。

やっぱり悪い冗談だって。

冗談も休み休みに言ってよ……。

付き合っていた頃の朔太郎とは全くの別人がそこにはいて、二人の会話を聞いても、やっぱり私は受け入れることができないでいた。

……あれだな。

冗談じゃないなら、これは夢なのかもしれない。うん。


「ってことなんだ。美桜」

「…………」

「美桜?」

「ふへっ!?」


突然近距離に現れた朔太郎(と名乗る男)の顔に、私は妙な奇声を発してしまう。

そのにっこりと笑った顔に、私は再び“えへら笑い”をくっ付けてじりじりと後ずさりつつも、やっぱり気になってしまって本当にその男が朔太郎本人なのかを確かめようと顔をじーーーっと眺めていく。

朔太郎って何か顔のパーツで特長とかなかったっけ……

あ。口の右下に小さなホクロがある。

そういえば、朔太郎も確かそこにホクロが……あったような、なかったような。

……あぁ、記憶が遠くてなかなか呼び起こせない。

 
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