私は男を見る目がないらしい。
「くくっ、そんなに食い入るように見られたら、俺勘違いしちゃうよ?いいの?」
「……へ?」
「だからー、“大好きだった朔ちゃん”ともう一回付き合いたいのかな、ってさ」
「……はぁっ!?」
「えーっ、なになに!?みおってば、小西くんのことそんな風に呼んでたのー!?いつも“朔太郎!”って可愛げもなく呼んでたくせに!みおがツンデレだったなんて、意外っ」
「なっ、よ、呼ぶわけないじゃんっ!てか、ツンデレって何!」
私は慌てて否定する。
でも心臓はバクバクだった。
ほ、ほんとはたまに呼んでたけど、そんな恥ずかしいこと言えないから!
っていうか、それを知ってるのは朔太郎だけのはず……、ってことは……?
香代子から朔太郎(の可能性が70%に上がった男)に目を向けると、にやにやと笑って愉しげな声を発してくる。
「今更恥ずかしがるなって。俺に甘える時は“朔ちゃん(ハート)”って呼んでたじゃん。美桜、この8年の間に記憶どっかに落っことしてきた?」
「きゃーっ!やっぱりツンデレなのっ?」
「そこが可愛くてさー。そのギャップがたまんねぇんだって!俺の前でだけ見せる顔がもう!」
「きゃーっ!何かエロい~っ!」