私は男を見る目がないらしい。
 

目の保養とばかりに眺めてしまっていると、「失礼します」という店員さんの声と共に、ビールと前菜のおつまみが来た。


「では、来てくださってありがとうございます」

「いえ。長谷部さんこそお疲れ様です」


お互いに笑い合い、カチンとグラスを合わせる。

どんな味だろうと泡の浮かぶグラスに口をつけると、口に広がったのは強い苦味だった。

いろんなビールを飲んだことがあるけど、これは一番と言えるくらいの苦味がある。


「わ。にがっ」

「え?そうなんですか?こっちは飲みやすいですよ」

「そうなんですか?私もそっちにすれば良かったかな~。いや、でも飲みますけどね!ビール好きとしては全部飲む義務がありますからっ」

「くくっ。あ、ちょっと交換してみませんか?俺もそれ飲んでみたいです」

「いいですよ」


私が持っていたグラスを渡すと、「はい」と私の目の前にも長谷部さんのグラスが差し出される。

お互いにビールを飲む。


「あー、確かにちょっと苦いですね」

「あっ、これ、おいしいです!次はこれ頼もうっと」


名前なんだったっけ、と思いながら、長谷部さんにグラスを渡そうとすると。

 
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