私は男を見る目がないらしい。
 



「本当に良かったんですか?」

「当たり前ですよ。お礼なんですから」

「……わかりました。ありがとうございます!」

「いえいえ。俺はそれ以上に楽しかったですから。こちらこそありがとうございます」

「!はい……」


美味しいビールを飲めてご飯を食べることができて大満足した私はやっぱりおごってもらうのは悪いと何度か長谷部さんに「割り勘にしましょう!」と言ったんだけど、全く聞いてもらえなかった。

お店の外に出てからも言ってみたけど、やっぱり折れてくれなくて、私は諦めることにした。

大人しく受け取っておこう。

長谷部さんと会うのは2回目のはずなのに、それを感じさせない会話と空気感を感じることができて、すっかり私も打ち解けてしまっていた。

時間が経つごとに長谷部さんと話すのが楽しくなってきて、もっとおしゃべりしていたいなと思うほどで。

あっという間に3時間が過ぎてしまっていた。

 
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