私は男を見る目がないらしい。
 

**

ある日、残業時間が1時間ほど過ぎた時、私は他の部屋から戻ってきた三浦さんに終えた仕事の結果を持っていった。


「三浦さん、これ終わりました」

「あぁ、ありがとう。仕事早いね。助かるよ」

「いえ」

「?相原さん、何か最近」


三浦さんが私をじっと見て何かを言おうとした時だった。

ガチャッと部屋のドアが開いて話し声が入ってきた。


「これ、俺よりも詳しい人間いるから」

「あ、そうなんですね。じゃあその方に、ぜひ」

「あ!相原さん、ちょうど良かった!この案件について聞きたいことがあるらしくてさー」

「へ?」


田仲さんの声がして振り向くとそこには。


「っ!?」

「あれ?」

「あ。」

「ん?どうした?」


一瞬、空気が止まった気がした。

……止まったのは、私と……朔太郎との間だけだったと思うけど。

顔を見合わせたまま止まっている私たちを何事かと田仲さんは首を捻っている。

神様って意地悪だ。

何で、私と朔太郎を会わせるの?

しかも、こんなみんながいる場所で……

 
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