私は男を見る目がないらしい。
 

どこがエロいんだっ!と心の中で香代子に突っ込んだ後、これ以上はヤバイかもしれない!と本能的に思った私は、ガバッと立ち上がり、その男の服をぐいっと掴んだ。


「~~っ、ちょっと、こっち来てっ!」

「きゃーっ!みおってば、ナニする気っ!?」

「ナニもせんわっ!」

「わ~ヤベ~、俺、元カノにヤラれちゃうかも~」

「きゃーーーっ!小西くんっ、がんばって~!」


きゃーきゃーうるさい香代子を放置して、そして、部屋中に響く私たちの騒がしさ(正確に言えば、香代子の悲鳴とも呼べる叫び声)に周りから何だ何だと飛んでくるたくさんの視線を無視して、私はくすくすにやにやと笑い続ける朔太郎(かもしれない男)の腕を引っ張って、がやがやと騒がしいその場を抜けた。

 
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