私は男を見る目がないらしい。
 



「これは?」

「えっと……ダメ。使ってる化学物質は問題ないけど、素材が縮む上に油汚れはあまり落ちないから」

「んーダメなのか……じゃあ、どれが一番良さそう?」

「ちょっと待って。えっとー……」


何とか30分でキリのいいところまでパソコンの打ち込みを終わらせた後、私は朔太郎の相手をし始めた。

素材が特殊らしいのと、特定の化学物質を使っているものがNGらしく、あれこれと洗剤の案件を見ていく。


「あった?」

「まだ」

「あ、それは?」

「これもダメ」

「えーダメなのかよー」


人が一生懸命探しているというのに、朔太郎は横から適当にやんやと口を出してくるだけ。

少しは黙れ!と心の中でこっそりと思う私は大人だとおも


「早く。はーやーくー。」

「うるっさい!待ってって言ってんでしょ!?静かにしててよ!」


……大人にはなれないらしい。

というか、朔太郎といると付き合っていた時と同じ感覚になってしまって、つい仕事だということを忘れてしまいそうになる。

周りにはみんないるし、そんなの良くないのに。

 
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