私は男を見る目がないらしい。
*
「これは?」
「えっと……ダメ。使ってる化学物質は問題ないけど、素材が縮む上に油汚れはあまり落ちないから」
「んーダメなのか……じゃあ、どれが一番良さそう?」
「ちょっと待って。えっとー……」
何とか30分でキリのいいところまでパソコンの打ち込みを終わらせた後、私は朔太郎の相手をし始めた。
素材が特殊らしいのと、特定の化学物質を使っているものがNGらしく、あれこれと洗剤の案件を見ていく。
「あった?」
「まだ」
「あ、それは?」
「これもダメ」
「えーダメなのかよー」
人が一生懸命探しているというのに、朔太郎は横から適当にやんやと口を出してくるだけ。
少しは黙れ!と心の中でこっそりと思う私は大人だとおも
「早く。はーやーくー。」
「うるっさい!待ってって言ってんでしょ!?静かにしててよ!」
……大人にはなれないらしい。
というか、朔太郎といると付き合っていた時と同じ感覚になってしまって、つい仕事だということを忘れてしまいそうになる。
周りにはみんないるし、そんなの良くないのに。