私は男を見る目がないらしい。
 

「二人、ほんと仲いいよなー」

「!」

「やっぱりそう見えます?でも俺あしらわれてばかりで悲しいんですけどね。高校の頃はもっと柔らかかったと思うんですけど……」

「そうなの?じゃあ誰かに影響されちゃったのかなぁ。今の相原さんは“ド”がつくほどのSだからね。あしらわれるのは仕方ないことだよ」

「そっか……じゃあ、この関係を楽しむためには俺がMになればいいんですね」

「あぁ、それが一番の近道かもしれないね~。相原さんもそっちの方が喜ぶんじゃないか?」

「確かに。でも、Mですか……具体的にどうすれば……」

「そんなの簡単だよ。……耳貸して」

「あ、はい。ぜひご教授ください」


田仲さんが朔太郎の耳元でごにょごにょと話しているけど、距離が近いせいで私には丸聞こえだった。

聞いていられないようなオトナ過ぎるワードのオンパレードに、マウスを握る手にぐぐぐと力がこもっていく。

そんな私のことには気付いていない朔太郎は「なるほど」「はい」と頷きながら、私から案件の話を聞く時以上の真剣な表情で頷いている。

我慢できなくなった私は、デスクをバンッと叩きつけ、思いっきり二人に向かって怒鳴りつけた。

 
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