私は男を見る目がないらしい。
でもほっとしたのも一瞬だけだった。
朔太郎の手が私の腕をぐっと掴んできて、身体を向き合わされたから。
「っ!?」
はっと朔太郎を見上げると、目に写るのは、苦しそうな、でも怒っている朔太郎の顔。
待ってよ、何でそんな顔するの?
それも演技なの?
終わりを迎えたはずの気持ちに反して、やっぱり私は戸惑ってしまった。
朔太郎の顔を見つめていると、朔太郎が口を開いた。
出てきた言葉は、まったく想像もできないものだった。
「……何それ。美桜、好きになれそうな人って、何だよ?なぁ!」
「っ!」
ケンカをした時でさえ聞いたことのない大きな声に驚いてしまって、つい私は反発してしまう。
「っ、そんな大きな声で叫ばないでよ!っていうか、朔太郎にはもう、私が誰を好きになろうと関係ないでしょ!?」
「はぁ?関係あるだろ!?」
「何で!?意味わかんない!」
「美桜こそ、何ふざけたこと言ってんだよ!?」
「ふざけてなんかない!そもそも、ふざけてるのは朔太郎の方じゃない!何も言わずに私の前から消えたのに、何もなかったように飄々と姿を現したのはどこの誰よ!?」
「!」
言葉に詰まった朔太郎に私はさらに言葉をぶつける。
もう、どうでもいい。
私は前に進むんだから!