私は男を見る目がないらしい。
7.ずっと想ってくれていた男

*仕掛けられたトラップ 「ずっと想ってきたんですから」

 

**

「最近、小西くんぱったりと来なくなったねぇ。相原さん、何か知ってる?」

「……知りません」

「あれ、そうなんだ?営業の方が忙しいのかな~」


……あの日以降、ぱったりと朔太郎は私の前に現れなくなった。

きっと、これ以上私に構っても私が揺れないことがわかったから来なくなったんだと思う。

これで前と同じ穏やかな日常が戻ってくる。

良かった、そう思う反面……心にぽっかりと穴が空いた感じがして、どうしようもない虚無感が私を襲う。

簡単に会える距離にいるのに会いに来ないってことは、本当に朔太郎は私のことにもう興味がなくなったってことだから。

本当の本当に、私と朔太郎の関係は何もなくなったということなんだ。

そうなることをこの数ヶ月間ずっと望んでいたはずなのに……

拒否したのは私なのに……

苦しい気持ちが私にまとわりつく。

 
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