私は男を見る目がないらしい。
「……俺が痩せたの、美桜のせいだからな。」
「……はぁ?何で私なの」
意味のわからない言いがかりとも思える言葉につい眉間に皺を寄せてしまうと、朔太郎の手が伸びてきて、きゅっと人差し指で眉間の皺を伸ばされる。
朔太郎はふっと軽く笑った後、再び真面目な表情に戻った。
「!」
「……高校の卒業式。覚えてるか?」
「!!」
覚えてるも何も……私が朔太郎のことをフッた日だ。
忘れるわけなんてない。
あの時は朔太郎が地元から離れることもわかってたから「遠距離は嫌だし、タイミングもいいから別れよー」なんて理由で表向きはさらっとフッてやったけど、本当の理由は全く別のところにあった。
……デートをドタキャンしてまで、一緒にご飯に行った人は誰だったのか。
最後までそれを伝えてくれなかった朔太郎に対して、私の心の中はぐちゃぐちゃな気持ちでいっぱいで、それが朔太郎と決別しようと決心した理由だった。
他の女と黙って何度もご飯に行くなんて……浮気以外の何物でもない。
あの時はそんな嫌な気持ちが私の中を覆い尽くしていた。
もう、早くそんな気持ちは捨ててしまいたいって、朔太郎をフッた後は逃げるようにして私は高校を後にした。
外では何とか我慢していたけど、家に着いて自分の部屋に入った瞬間から制服のまま泣き倒したっけ……。
そんな私の心の中とは正反対に、あの日は綺麗な透き通るような青空が広がっていたこともすごく覚えてる。