私は男を見る目がないらしい。
 

もうバレるかも!という時、ガチャッとドアが開く音とともに、声が飛び込んできた。


「あれ?小西くん、久しぶりだね!」

「あ、田仲さん、ご無沙汰してます。勝手に入ってすみません。誰もいないみたいで」

「あー、いいよいいよ。みんなまだ他の部屋にいるんだと思うから」

「あ、そうなんですね。お忙しいんですね」

「これでもだいぶ落ち着いてはきたんだけどね。でも、小西くんも忙しかったんじゃない?」

「はい。でもやっと少し落ち着いてきました。なので、ここに来れる時はまた勉強させてもらいたくて。やっぱりまだまだ知識足りないんですよね……。お忙しいのにご迷惑だとは思うんですけど、お願いできませんか?」

「あぁ、そういうことならもちろん大歓迎だよ!小西くん来てくれると相原さんの勉強にもなるし、活気付くから!」

「!!」


恐ろしいことを言い放った田仲さんに私は焦った。

べ、勉強にならなくて結構です!

っていうか、また私が朔太郎の担当になるんですか!?

私の焦りなんて知るはずもない田仲さんがぺらぺらと勝手に話を続ける。


「いやー、小西くんのお陰かなー。相原さん、さらにバリバリ働いてくれるようになってさ」

「そうなんですか?へぇ」


いやいやいや。

別に朔太郎のお陰とかじゃないけど……

まぁ、朔太郎になんやかんやと言われながらもいろんな案件を見ていくうちに、実際の仕事は楽しくなったし、教えた知識が仕事に役立つことも多くなったのは間違いない。

 
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