私は男を見る目がないらしい。
 

「でもねぇ、突然小西くんが来なくなっただろ?それからは相原さん寂しそうでさぁ」

「っ!!」


そ、そんな事実はございません!

どこをどう見て、そうなったんですかっ?


「寂しさのあまり、仕事もたくさん引き受けて。すごかったんだよー」


仕事は確かにたくさんしましたけど!

別に寂しかったからじゃないし!

むしろ、逆、逆、逆!!!


「迫力も80%くらいまで落ち込んで、なかなか寂しかったんだよね」


迫力が足りないと言うのなら、明日から120%にして差し上げます!

田仲さん限定で!


「だからさ、小西くん、また構ってあげてよ」


い、いりません~っ!

「だから」の意味が全くわかりませんから!!

田仲さんの話の運びに、私は心の中で大声で突っ込み続ける。

このまま放置し続けるのはまずいと感じ始めた私は、隠れていないで出ていった方がいいかもしれない、と椅子を引いて立ち上がろうとする。

でも。


「……わかりました。そこまで相原さんが俺のことを好きだったなんて……男冥利に尽きます」

「!!!」


なっ、なんてことを言い出すんだ~っ!

朔のやつ!!!

 
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