私は男を見る目がないらしい。
 

「ひゃっ!?えっ、なっ、何っ!?」

「……まだ話終わってねぇし。行くなよ」

「な、ちょ……っ、朔太郎……っ?どうしたのっ?」

「美桜」

「っ!!」


後ろからぎゅっと抱き締められて、吐息がかかるくらい近くに朔太郎の顔があって……加えて、朔太郎は私の耳元で甘く囁くように私の名前を呼ぶ。

それに対して私の身体はびくんっと跳ね、最高潮になっているはずの心臓の鼓動はさらに速度を増した。

ま、待って……!

この男、私を殺す気っ!?

心臓持たないってば!

殺されてたまるか!と、私はもぞもぞと動いて朔太郎の腕から逃げ出そうと試みるけど、朔太郎の力は思っていた以上に強くて、びくともしない。


「ちょ、ちょっと!離してっ?話なら聞くから!」

「……嫌。離さない」

「はぁ?何でっ?もう、ほんとに冗談はやめてってば!こんなとこ、誰かに見られたら……っ」

「……冗談でこんなことしてるわけじゃねぇよ。それに、別に誰に見られようと何の問題もねぇだろ?昔俺たちが付き合ってたことはみんなも知ってるし、今も別に他に相手いるわけじゃねぇんだから」

「そういう問題じゃないってば!早く離してよ!意味わかんないし、こんなのおかしいって!」

「おかしくなんてないし、こうする意味も少し考えればわかることだろ?」

「はぁ?わかるわけないでしょ!?」

「……この状況で何でわかんねぇんだよ。美桜、そんなに鈍かったっけ?……仕方ねぇからわからせてやるよ」

「ひゃっ!?ちょ、どこ触って……っ、やだ……っ」

 
< 30 / 278 >

この作品をシェア

pagetop