私は男を見る目がないらしい。
何でそんなに私のことを見るの?
付き合ってた頃もそんな風に私のことを見るのが朔太郎の癖だったけど、今は私は朔太郎の彼女でも何でもないのに。
ほんと、やめて欲しい。
朔太郎に見られると、変に心臓が締め付けられて苦しくなるから……。
「……美桜」
「っ!あっ、そろそろ戻ろっか!いい加減香代子も落ち着いてるだろうし、ほら、みんなとも話したいし!ね!きっとみんなも朔太郎と話したいと思ってるよ!」
脳に響くようなテナーボイスで名前を呼ばれた瞬間、私は手すりからガバッと身体を離した。
……もう無理だと思ったんだ。
これ以上朔太郎と二人でいると、私は本当におかしくなる。
妙な甘さを帯び始めたその空間から逃げるようにくるりと踵を返した瞬間、後ろからぬっと伸びてきた腕に、私の身体は捕らえられた。