私は男を見る目がないらしい。

　

「ん……、ふ……っ」


しばらくお互いの熱を感じた後、ゆっくりと離れた。


「……まだ足りない？」

「ううん。キスしたかっただけー」


そう言って、私はくすくすと笑いながら、朔太郎の胸に顔を埋めて擦り寄った。


「……くくっ、美桜くすぐったい」

「……ダメ？」

「んーん。いいよ。おいで」


朔太郎の腕に力がこもって、ぎゅっと抱き締めてくれる。

はぁ、と幸せな吐息が出た。

このまま眠りにつきたい、と目を閉じると。


「美桜、こういうところほんと変わんないな。すっげぇかわいい」

「……おだてても何も出ないからね？」

「いいよ。美桜にこうやって触れることができるだけで十分だし。超幸せ」

「……うん」


私も同じ。


「あ。」

「何？」

「俺痩せたけど、変わんなかったろ？」

「……ん、何が？」

「ナニが。」

「…………は？」

「いやー、痩せたからって小さくならねぇもんなんだな。しぼむと思ってたけど、別もんみたいでさー」


けらけらと笑って恥ずかしげもなく下ネタを炸裂させる朔太郎に、私は「失敗したかも……」と本気で思ってしまった。

せっかく満たされて温かい気持ちで幸せに浸っていたのに、それをガラガラと崩してしまうデリカシーのなさ！

……って、朔太郎に“ムード”というものを求めた私が悪かったのか……。