私は男を見る目がないらしい。
 

朔太郎が私の視界から急に消え、はっと視線を下に動かすと、ガバッと私の目の前で土下座をしていた。


「えっ!?さっ、朔太郎っ!?」


突然すぎる朔太郎の行動に、私は狼狽えた。

なにっ!?何なの!?


「……ごめん!マジ、ごめん!」

「えっ?なっ、何が!?」

「俺……っ」

「……っ、」


土下座をしてまで言う言葉。

……どんな言葉が出てくるのか、想像するだけでも怖すぎる。

「俺と別れてくれ!」とか?

それとも、「実は本命の彼女がいるんだ!」とか、「実は結婚してるんだ!」とか?

私の頭の中を支配するのは悪いことばかりだ。

……履歴書からは完全に離れているけど、そんなのはもうどうでも良かった。

 
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