私は男を見る目がないらしい。
 

私が小さく息をついた時、朔太郎が立ち上がり私の横に座ってきて肩を寄せられた。

斜め上を見上げると、真剣な表情で私を見てくる朔太郎がいて。

でも私はそのまま甘えることはできずに、目を伏せてしまう。

……絶対にめんどくさいと思う。

あまりのワガママに、とうとう愛想を尽かされてしまうかもしれない。

でも、これだけは……

私は不安な気持ちを抑えて、ゆっくりと口を開く。


「……もう、嘘はつかないで」


もう、傷つきたくないから。

……朔太郎のことを信じていたいから。

お願い、と祈るように、私は朔太郎の顔を見上げる。

でも、その口から出てきた言葉は。


「……うーん、時と場合によるかな」

「はぁ!?」

「っと、怒んなって。嘘も必要な時はあるだろ?」

「ない!」


嘘が必要な時なんて、自分に都合の悪いことがあってそれを誤魔化す時でしょう?

そんなの嫌だし!

 
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