私は男を見る目がないらしい。
 

「あるって。例えば~……あ、美桜がダイエットしたとして、“私、痩せた?”って聞かれた時に全くわからなくてもヤル気出させるために“痩せてかわいくなった”って言ったり?」

「……意味わかんないんだけど」

「あ?女ってそういうもんじゃねぇの?」

「……さぁ……」


私には理解できなくて、首を捻ってしまう。

そんな私に「美桜らしいな」とくすくすと朔太郎が笑った。

その笑顔についつられて笑いそうになってしまうけど、必死に堪える。

ここで流されたら負けだ。


「んー、とにかく。もし嘘をつくとしても、美桜のためにしかつかないから。美桜を傷つけるような嘘は絶対につかない」

「!」

「だから、俺のこと信じてよ。な?」

「……」


顔を覗き込んできた朔太郎はもう、私から目を逸らさない。

さっきまでとは違って、その目は何の曇りもない。

それはこの言葉が嘘じゃないことを表していて。

……信じても、いいの?

……信じても……

……信じたいよ。

朔太郎を信じたい。


少し考えて……私は頷いた。

 
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