私は男を見る目がないらしい。
もやもやと考えていると、沈黙に耐えられなかったのか、朔太郎が慌てたように口を開いた。
「……っあー、悪い悪いっ。やっぱいいや。うん」
「え?でも」
「ごめん。変なこと言った。今の、忘れて」
「……でも、困ってるん、だよね?」
「……や、大丈夫大丈夫。うん」
ふ、と気が抜けたように笑ったけど、その笑顔が逆に心配になった。
大丈夫って言うけど、本当にお金が必要なら貸さないと困るよね?
本当に必要だからこんなこと言ったんでしょ?
それに……私が断れば、もしかしたら、他の人に、なんてこともあるかもしれないし……
そっちの方が何か嫌だ。
そうなるくらいなら、私が。
私には遠慮なんてしないでほしい。
悩んでしまった私が悪い。
「……いいよ?」
「え?」
「貸すって言ってんの!でも出世払いだからねっ!」
「……美桜」
「改まって言うから何事かと思ったし!」
私はけらけらと笑い飛ばす。
朔太郎の心が軽くなればいいと思いながら。
朔太郎のこと信じるって決めたんだもん。
ちゃんと就活もしてるし、絶対に変なことにはならない。
大丈夫。