私は男を見る目がないらしい。
 

「……でも私、彼を信じます。大丈夫、なはず!」

「ふふっ、美桜がそう思えるならいいんじゃない?男全員がそんな悪い男って決まってるわけでもないし。ま、多いとは思うけどね~」

「もう!理子さん~」


すがるように理子さんの服を軽く掴んで、くいくいと引っ張った。

すぐに「離しなさい」と言われてしまったけど。


「美桜」

「……はい?」

「……いい恋、しなさいね」

「!……はい。ありがとうございます」


やっぱり何だかんだ言っても、理子さんは優しい。

ちゃんと私のことを考えて言葉をくれる。

どこまでも着いていきたい人だ。

顔を合わせて笑い合った後、そのまま「そう言えばさぁ~」と理子さんの恋愛事情に話が移って。

今は1年付き合っていた彼氏さんと別れたばかりらしいけど、すっかり吹っ切れ……というかすっかりお友達に戻ったらしい。

理子さんは別れた後も元カレとは友達関係に戻ることが殆どのようで、友達に戻れるってすごいよなぁ、といつもながらに感心する。

私だったら、そんな風には思えないだろうなって。

その話の流れで理子さんが昔付き合っていた人の話が出てきて……あんなことやこんなことがあったと。

あまりにも激しい恋愛事情に、私は食い入るように聞き入ってしまった。

ちょっと登場人物が多すぎて絡み合いすぎて混乱するところもあったけど……

理子さんはやっぱり、経験豊富なオトナだ……!

それが一番の感想だった。

 
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