恋物語。
―次の休日。
私は朱里の家へとお邪魔した。
ちなみに朱里は私と違って一人暮らし。
会社から実家までの距離が遠いから会社から割と近い所の部屋を借りて住んでいる。
だから私は…朱里を“ダシに使った”のだ―…。
「…で。何?話したいことって」
並んでソファに座る朱里がそう聞いてくる。
「あのっ…あのね…?私…っ」
ドキドキドキドキ…
私は意を決して…この間のことを話した。
もちろん…朱里を使ってしまったことも―…。
「ええぇぇーーーっ!!!!」
予想通りな反応の朱里。絶対こうなるだろうとは初めから分かっていた。
「いろいろ起こりすぎて、ついていけないんだけどっっ!!っていうか!私使うとかっ!!!」
「だ、だから…っ!お菓子持ってきたじゃんっ…お詫びの印に…っ」
詰め寄る朱里に私は買ってきたお菓子をズンッと朱里の方へと差し出した。
ちなみにこれは…朱里の大好物。
「だよね!そういうことなら貰わないとダメだよね!?」
私がこのお菓子を持ってきた理由を知ると当たり前だと言わんばかりにそう言ってのける。
「てかさ!付き合ってるの!?ねぇねぇ!そこんとこどうなのっ!?」
「ぅ…っ」
さらに、ものすごい勢いで詰め寄る朱里に私はたじろぐ。
「えっ、と……初めて会った時さ…私、井上さんと一緒に帰ったじゃない…?」
「うんうん。」
「で、その帰り道に…そのっ…告白、されて…」
「うん!で!でっ!!」
朱里がさらにヒートアップ。目がキラキラと輝いているのがよく分かる。
「で…“好きとかよく分からない”って言ったら…“試しに付き合ってみない?”って言わ…」
「ええぇぇーー!!何そのドラマみたいな展開ー!!」
私が話す途中、朱里が大きな叫び声をあげた。
「っていうことはー…付き合ってはいるんだよね?」
「一応…」
「じゃあさ…好きになれた?」
朱里の目は、まだキラキラと輝いている。
「好き…かは……分からない…」
「…あんなことしたのに?」
「///…っ!!!ちょ、ちょっと!それは言わないで…っっ」
意地悪なことを言う朱里に慌てて言い返す。