恋物語。
「…あれから会うの、初めてだから。」
ドキン…ッ
その言葉に大きく胸が高鳴った。
確かに…“あれから”会うのは今日が初めて…。朝は、うちの会社でも会ったけれど…それとこれとは訳が違う。
だって今は…聡さん、と…2人っきり…。否が応でも…“あの時”のことを思い出してしまうから―…。
「あ、そだ。俺…全然悪いとか思ってないから」
「え、悪い…?何のこと…?」
突然そう言われても…何のことなのかが分からない。
「…知沙を抱いたこと。」
「////…っ」
ストレートすぎる発言に顔に熱が集まる。
「知沙が“好きが分からない”っていうだけで…俺は知沙が好きだから。だからそれに関しては…謝ったりなんてしないよ?」
彼はそう言うと口角をあげて、ニヤッと笑った。
「っ…!」
何でこの人は…いつもこんなに自信満々で余裕なんだろう…?それはやっぱり…私との経験値の差なの…?
てか私…この人と、どうなりたいんだろう…?なーんか今日は…嫉妬まがいなこともしちゃったしさー…。
「……さ……知沙?」
「へっ…」
彼の声で私は我に返った。
「大丈夫…?」
「あ、はい…すみません…っ」
全然たいしたことなんてないのに心配そうな顔をする彼に申し訳なくなる。
「そ?ならよかった。それより早く頼まないと。お昼休憩、終わっちゃうよ。知沙…1時まででしょ?」
「はい、そうです。じゃあ…頼みましょうか。」
「もう決まったの?」
「はい…大丈夫です。」
「そ。…了解。」
聡さんは、フワッと私に微笑む。
「っ…」
そんな顔するなんて…ずるいよ…。あなたに…溺れそうになる――…。