恋物語。
「…いらっしゃいませ。こちらメニューになります。お決まりになりましたら…お呼び下さいませ。」
お店に入り席へと案内され、店員さんはメニューを置いていった。
「ん…?オムライス…??」
メニューの表紙に載っている写真を見て呟く。
「そう、正解。ここは、オムライス専門店なんだ。」
向かい側に座る井上…聡さんがそう言う。
「さっ……聡さん…知ってたんですか…?」
「あ。やっと自発的に言ってくれたね?」
「//…」
じっと目を見つめられて恥ずかしくなる。
「えっとね…うちの社の女の子たちに聞いた。」
「え…そうなん、ですね…」
“うちの社の女の子たち”
本人からそれを聞いちゃうと…やっぱり堪える…。
「……妬いた?」
「え!?いやっ…そんなんじゃ、ないです…っ」
そんなことを聞かれて彼から顔を隠すように眼鏡のフレームを触り俯いた。
「ふー…ん」
「っ…」
な…何だろう…?私もう…聡さんの顔、見られないような気がする…っっ
だって少なからず…やきもち…?を焼いたような感覚がしたのは事実だし…。
てかとりあえず…何を食べるのか決めなきゃ…っ
そう思った私は置かれたメニューを開いて眺め始める。
「どれも美味しそうだよね?」
「そ…そうですね…」
うぅ~何…!?今日やけに緊張するんだけど…っ
「知沙さ…緊張してんの?」
「へっ…!?」
心の内をズバリと当てられ慌てて顔をあげた。
「な…何でそう思うんですか…?」
「ん?んー……」
唸りながらテーブルに肘を置いて頬杖をつき私を見つめる。
「っ…」
そっ…そんなに私を見つめないでほしい…っっ
だけど…その瞳の中に吸い込まれそうな感覚になるのは…なぜ…?