恋物語。




そういえば…どこに向かっているんだろう…?




そう思ったのも束の間、とあるドアの前で彼は立ちまりドアノブに手をかけ、それを開けた。



「……ここは?」



「楽屋…っていうか、まぁそんなとこ。入って?」



「あ、はい。へぇー…こんなとこまで用意して…ッ」


言いながら部屋に入ると後ろから抱き締められた。



「っ…!!さ、聡さん…!?」


いきなりの行動に私は慌てふためく。




なに…!?何何何なに…っ!?




「ごめん、俺…モデルやってる知沙見てたら嫉妬するかも。だから充電。」



「えぇ…!?」




じゅ、充電…!?っていうか嫉妬…!?あの、いつも余裕で大人な聡さんが…!?




「とりあえず、このままで説明するね?」




えぇっ…!?こ、このままって…っっ




私のことはお構いなしで彼は話し出す。



「着てもらう服は、その袋に入ってるから。で、ここの鍵は…俺が預かっておく。」



「あ、はい…分かりました…」




ドキドキドキドキ…ッ




もうそんなことより…ドキドキしすぎて死にそうなんですけど…っっ




「じゃあ…外で待ってる」



「っ…!」


彼は小さく呟くと私の頬にキスを落とし私から離れる。




・・・・・




「え…?」


その意味がよく分からず彼に振り返った。



「ん…?着替えるとこ、見ててもいいの?」



「っ…!!!/// だ、ダメですっっ!!!」



「ふふ…じょーだん。なのに真っ赤になっちゃって…可愛すぎでしょ。」


ようやく理解できた言葉に慌てて言い返すと、いつもの余裕な顔でそう言われてしまった。



「////…」




あぁもう…やっぱりだめ…。今日はいつも以上に翻弄されてる気がするんだけど…。




「じゃあ…待ってるから」


聡さんはそう言って一旦、その部屋から出て行った――。





< 36 / 148 >

この作品をシェア

pagetop