恋物語。
ひ、一目惚れ…!?私にそんな効力なんてないはずなのに…っっ
「ふふ…ちょっと待って。驚きすぎだから」
井上さんは私の顔を見て鼻で笑うと柔らかな表情で私を見つめる。
だだだだだ、だって…っっ
「だって私…告白されたの…生まれてっ…初めてだから…っ」
そう言いながら下を向き眼鏡を触る。
「その眼鏡…取ってみたいな。」
「え…!?」
意味の分からない井上さんの発言に彼を見上げた。
私の身長は160cmないぐらいで井上さんは…170cmをゆうに超えているだろう。
だから少し…上目遣いをしてしまう。
「ダメだよ、そんな顔しちゃ」
「え…?」
やっぱり…ますます意味が分からない。
「俺はキミが好きなんだ。今すぐにでも…キスしたくなる」
「////…っ!!」
そんな発言に顔が熱を持ったように熱くなり再び下を向く。
えぇー…な、なに…!?この人、本気でそんなこと言ってるの…!?
「知沙ちゃんは?俺のこと、どう思ってる?」
「えっ、と…私は…素敵な人だな、とは思います…」
俯いたままで答える。
「素敵…?好きとかじゃなくて…?」
「あ、えと…私…好きとか分からないんです…小学生の頃に置いてきたっていうか…」
「置いてきた…?それってどういうこと?」
顔を見なくても不思議な顔をしているんだろうなって感じた。
「それは…小学生の頃までは…ちゃんと好きな人っていたんです、それなりに。だけど…中学に入って部活を始めてからは…好きになれる人が見つけられなくて…。それでそのまま、今に至るっていうか…」
「ふーん…そういうことね…」
井上さんは納得したような声でそう言った。