恋物語。




「ねぇ…ほんとにまだ…?」



「っ…」




だ…誰のせいだと思ってるんですか…っ!!あなたのせいですからね…!?




「あ…。」


聡さんの攻撃に負けないよう、マグカップを選んでいると…ある“一点”と目が合った。



「聡さん、これ…よくないですか…?」


私は両手で“それ”を手に取り彼に見せる。



「ん…?ペアマグ…?」



私の目に留まったのは…ペアのマグカップ。色はピンクと水色の色違いで…




「あ…ハートマークだ。」



「でね…?こうしたら…」



一つ大きなハートマークがそれぞれに描かれており、カップ同士を合わせると…半分色の違う、ハートが完成する。




「…いいじゃん、これ。これにする?」



「いいんですか…?」



「今さら何、言ってるの?いいに決まってるでしょ。」



「そう、じゃなくって…っ」




私が言いたいのは、そういうことじゃない…。




「ん…?そうじゃない…?」



「聡さんのも…これでいいんですか…?」




聡さんがいいのかを聞いているの…。




「ふふ…ほんと可愛いね?」



「へ…っ!?」




い、今の会話と…どういう関係が…っっ




「そんなの…嬉しいに決まってるじゃん。初めての…知沙との“お揃い”なんだから」



「っ…!」


聡さんはそう言うと…私のほっぺにキスをした――。





< 72 / 148 >

この作品をシェア

pagetop