恋物語。
「じゃあ…どれがいい?」
「えっ、と…」
私は目の前に置かれたマグカップたちを物色し始める。
んー…どれも可愛いんだよなぁ…。ほんとに迷う…。
マグカップを手に取り置き、また違う物を手に取り置き…という行動を繰り返す。
「…ふふ。」
「え…?どうしたんですか?」
すると突然、聡さんが笑い出したから彼に目を向けた。
「え…?真剣に迷ってる姿が何か可笑しくて。」
「っ…!も、もう…っ!聡さんってば失礼ですよっ!?」
私は彼を少し睨む。
人が真剣に選んでいるのに、そんなことを言うなんて…っっ
「お…知沙でも睨むんだ?」
「え…?」
どういうこと…??
「多分…初めて見たかもって思っただけ。」
「っ…」
何だか気まずくなって、またマグカップの置かれた棚に目を向けた。
そ、そういえば…そんな気だって、しなくは…ない、けど…。
「っっ…!」
「ねぇ…、」
その時、聡さんが後ろから私の腰に手を回しギュッと抱き締めてきて…
「…まだ決まらないの?」
「///…っ」
耳元でそう囁いた。
こ…こんな状態で決めろっていう方が無理に決まってるじゃん…っっ
聡さんってば…絶対、私のこと弄んで楽しんでるでしょ…っ!?
「知沙…?」
「ひゃ…っ」
すると聡さんは…私の耳を甘噛みした。
「ふふ…なんて声、出してるの?ほんと弱いね。」
よ…弱いとか弱くないとかの問題じゃないから…っっ