恋物語。
この展開…デジャヴ…??
あれは…聡さんと初めてホテルに行って、そのまま朝を迎えてしまった時のこと―。
私は、お母さんに本当のことを言えず…朱里を使って言い訳を言ってしまったんだ…。
「し…しました……でも、あの時のことは謝ったじゃんか…っ!!」
そ、そうだよ…!あの時の出来事なら、ちゃんと謝ったもん…っ
しかも朱里の好きなお菓子を持って行って…。
「別に、あの時のことを言ってるんじゃないってば。今、現在の“その話”を聞いてるの!」
「っ…」
な、何それ…。言わないとダメなの…?
「で。どうなのっ?…井上さんとの“夜”は。」
朱里の瞳は好奇心という名の色を乗せている。
もうこうなったら…私には止められないし、
もし止めようものなら…また“あの”取り調べっていう展開…。
「……。聡さん、は……私の知らないことを…いっぱい知ってて……っ」
あんなことや、こんなこと……ごにょごにょごにょ…。。
「///…も、もういいでしょ…!?」
これまでのことを“いろいろ”と思い出してしまい顔が熱くなる。
「なーに思い出してるんだか!知沙って意外と、えっちだったりして。」
「///…っ!!!だーから!違うもんっっ!!」
ニヤニヤとした表情を浮かべる朱里にそう言い返す。
朱里が“聡さんとのこと”を聞くから悪いんだもん…っっ!!
そんなの…やっぱり思い出しちゃうじゃんか…っっ
「でも…いいなぁー、ラブラブそうで。」
「ぇ…」
朱里の哀しそうな顔を見て…私は少し驚く。
朱里だって…純也くんとラブラブなんじゃ…?
「純也ね…最近、何か変なの。私に隠し事してるみたいで…」
「え…?」
予想外すぎる話に…それ以上、何も言えない。
「はぁ…。他に好きな人でも出来たのかなぁ…?私は純也のこと…大好きなのに…っ」
朱里は、ため息をついて頭(こうべ)を垂れる。
「朱里…」
親友が…そんな危機だなんて全く知らなかった…。
でも私は…純也くんのことを信じたい…そう思ったんだ――。