恋物語。




「じゃあ……再会したあと二人で会ったっていうのは…?」



『それも本当。あのあと…瞳の方から連絡が来て…“どうしても一回、会って欲しい”と。それで…二人きりで会った。
で…瞳が“ヨリを戻したい”って言い出して…でも俺には知沙がいるし…もう知沙以外、見えてないから…きっぱり断った。』



「ぇ……ほんとに…?」


聡さんの口から聞く話は…早川さんから聞いた話と少し違っていて驚いた。



『ほんとだよ。それだけ言って、そのあと別れたんだから。』



「……。」




え、じゃあ…“朝まで共にすごした”っていう、あれは…―?




『もしかして知沙…瞳に何か吹き込まれたんじゃないのか?』


そう言う聡さんの声は…心配してくれているように感じた。



「グスッ……“朝まで…一緒だった…”って…」



『はぁ…。あいつのやりそうなことだな。知沙…まんまと引っかかってるよ。』



「え…!?」




引っかかる…?って、まさか…。




『…それは瞳のついた“嘘”。そういうとこ…全然、変わってないんだな…』




嘘…?じゃあ…ほんとのことを言っているのは…ー。




「うぅ~……ヒック……聡さんっ……ごめん、なさい…っ」



彼を信じ切れなった自分に腹が立って…
彼に“あんなこと”を言ってしまったという罪悪感も感じて…


何だか分からない、いろんな感情が入り混ざって…涙が溢れ出した――。




『知沙…知沙が謝ることなんかじゃないよ…』



「でも私っ……聡さん、に…あんなこと…言っちゃった…っ」



『あぁ…さすがに、あれには驚いたけど…でもちゃんと電話くれたじゃん。それだけで…俺は嬉しい…』



「グスッ…」



『知沙……今すぐ会いたいよ…』



「聡さん…」



『ねぇ…明日の仕事終わり…会える…?』



「……はい……あっ…あの、聡さん――…」






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