記憶の欠片
記憶のパズル

次の日が週末だったから
日向とある場所に行った。

もちろん奈々ちゃんの車で
あっちゃんも同伴。

「…ここ」

ある場所とは…


俺があの子と約束した、
思い出の海。


「…ここ…懐かしい」

「…俺の…思い出の場所なんだ」

「…智、なにか思い出せそう」

でも、そう言った後に
日向は頭を抱えて
苦しみだした。

「…イタッ…痛いよ
あっ…ちゃん……助けて」

日向は何度も何度も
苦しそうに泣いて
過呼吸をしだした。

「…智⁉︎…大丈夫?智⁉︎」

「…あっちゃん….薬」

「…薬あるの?
鞄みるね!」

あっちゃんは膝から
日向の頭を下ろし、
鞄から小さな箱をだした。

「…うそっ」

それなのにあっちゃんの顔は
箱の中をみた瞬間に、
一気に血の気が引いていって
青ざめていた。

「…どうした?」

「…薬が…ないの」

「…ウソ……奈々ちゃんは⁉︎」

「…奈々ちゃん持ってる⁉︎」

「…持ってない。
智が持ってると思ったから。
…ごめんなさい」

奈々ちゃんの顔からも
血の気が引いているみたいで
青白くなってて

「…私も…持ってないのに」

気づいたらあっちゃんの頬には
涙が伝う。

「…とりあえず…救急車
…救急車よぼ?」

「….そうだ…救急車。
…奈々ちゃん。
お願い、救急車よんで?」

「…智」

「…奈々ちゃん⁉︎はやく!
はやく呼ばないと…
はやくしないと…
智が…智が死んじゃうよ!」

「…わ、わかった!」

奈々ちゃんが急いで
救急車を呼んでくれて、
救急車が来るのを待っていた。

でも、救急車を待つ間にも
日向の過呼吸が治まることはなくて

額には汗で前髪が張り付いていて、
呼吸は次第に弱まっている。

10分くらいして
やっと救急車が到着。

救急車にはあっちゃんが
乗ることになって、

俺は奈々ちゃんと
後から追うことにした。
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