【更新中】キミの声、聞かせて
「樹里…?」


大翔は心配そうに覗き込む


「泣いてんの?」


“泣いてないよ”って言えたらどんなに幸せなんだろう


話せないあたしにはどうすることも出来ない


「教室に戻りたくない理由があるんだろ?でも、俺は無理に樹里から聞かないよ」


大翔はあたしの隣に座り直した


「樹里が話してくれるまで待ってる」


どうして、こんなに優しいんだろ。


「次の授業、サボるか。泣いてたら出たくないだろ?」


あたしは正直に頷くしかなかった


「樹里、今度の休みの日出掛けるか?」


《外に出たくない。本当は学校にも行きたくないのに》


「それはちゃんと分かってる。でも、引っ越してきたばかりで揃えるものもあるだろ?」


確かにそうだな。
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