【更新中】キミの声、聞かせて
「あ~ぁ。樹里ちゃんが大翔の彼女じゃなかったら俺が彼女にしてたのにな。」


嬉しくような、恥ずかしいような…。


馴れてないから真っ赤になる


「ねぇ、人の彼女を口説かないでくれる?」


どす黒い声がした方を見てみるとにこにこの晴太くんを抱いた大翔の姿


奈那たちも一緒だから戻って来たんだ



「樹里ちゃん、優しいからさ。にしても大翔変わったよね。中学時代は荒れてたのに」


「お前、誰だ?」



大翔は不思議そう



「近野(コンノ)陽太って言えば分かるよね?」



「近野ってあの近野か?」



「俺しかいなかったから分かるでしょ?」


大翔は思い出したようだ


「春川学園に来たのは俺だけだと思ってたのに…。」


「あの頃は母方の名字だったから気付かないよね。急遽、親の離婚が決まったからさ。だから、こっちに引っ越してきたんだ」


今はお父さんの名字と一緒ってわけか。


頭の良い大翔は早々と理解したいようだ


「樹里、晴太抱くか?」


あたしが頷くと晴太くんを抱かせてくれる。


……可愛い。



奈那は奈那であたしのカメラを使って写真を撮っている


撮るのは馴れてるけど撮られるのは馴れない時がある


「樹里、楽しまないと終わっちゃうよ」


奈那に言われて我に返る


いつ声が出るか分からないから不安にもなるけど…


今のあたしは1人じゃない


周りの人に支えられて今のあたしがいる


前に進むためには少しの勇気も必要だ。
< 594 / 606 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop