ぎゅってして?

「…悪いけど、あたしに許可無しにファンクラブつくるの辞めてくれない?」

いつの間に飛び出していたあたし。

「「え…?」」

不良たちはまさに目が点。

末村というと、目を一瞬見開いたものの
すぐにいつも通りの表情になった。

「なぁ、梨乃…」

急に末村が話しかけて来た。

「…?」

「…呼んでくれるよな?」

「え?」

なんでここでっ!?

こないだ、『信夜って呼んでくれない?』なんて言われたんだ。

気が向いたら…とか、言い訳付けたよね?

「は、や、くっ」

ニヤニヤしながらあたしの声を待つ末村。

「……の、ょ…る」

「もっと読んで欲しい!」

急に何っ?

「のよる」

従っちゃうあたしはきっと、惚れてしまった弱みだ。


「…俺のこと、好きでしょ?」


「うぇっ!?」

驚きで変な声がでた。

好きっ!?…好きってあの好きっ?

「違う?…俺のこと好きなくせに…恥ずかしいの?」

クスリと笑って、…末村はまたあの時のように…髪に触れた。

あたしはその時、末村に抱きついた。


「ぎゅってしたいほど好き」


末村が年下でも、年上でもいいと思えた。
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